脱サラから飲食店開業、飲食店経営まで

都内アメリカンダイニングバー開業から現在

15.物件について.その①

前々回、物件について書きました。

私の物件契約について書く前に一般的な物件選びについて、私見も交えて記します。

その前に、物件を契約し取得する際にかかる費用について。おおよそ目安ですが、借りる賃料の8カ月から1年分程度を最初に支払う必要があります。30万円の賃料の物件なら、240万から360万くらいでしょうか。具体的には契約金1カ月、前賃料1カ月、仲介手数料1カ月、保証金半年から1年分、くらいでしょうか。

それを踏まえて、もう一つ。業態や利益率にもよりますが、ひと月に賃料の10倍を売り上げられるかが目安になると定説としてあるので、30万円の物件ならひと月に自分がそこで300万を売り上げられるイメージがつくか、見る上で重要だと思います。

物件選びに話を戻しますが、近年多いのがいわゆる居抜き物件です。ちなみに私はスケルトンで入っているので、私見が主になりますがご容赦下さい。

居抜き物件のメリットは、なんといっても初期費用の圧倒的な安さです。前に入っていた店のものをすべてそのまま引き取ってはじめる、それが居抜きの本質なので、物件取得費用以外にかかる費用はほとんどありません。譲渡費用として100万程度設定している店舗がほとんどですが、これについては値引き交渉も十分可能です。自分の看板さえ付け替えれば各届出などがすんでいれば翌日からでも営業できます。

反面デメリットとしては、まず機材についてはすべて中古品であること。内装が当然前の店と同じであること。残置という表現で表される前店舗の全ての物が、いらなければ逆に自分で費用を払って処分する必要があること。などでしょうか。

中古機材を使うことについては、正直判断が別れるというか運があると思います。入って翌月壊れてしまうこともあれば、10年20年すべて保つ場合もあるはずです。前の店舗が例え1年で退店したとしても、賭けであることに変わりはないでしょう。私の隣の物件もスケルトンから入ったインドネシア料理店が二年経たずに退店して、すぐにフレンチが居抜きで入りましたが、半年経たずに食洗機とその配管が不良でうちの店にまで水漏れして結構な費用がかかっていました。聞くと、インドネシア料理店のずさんな工事が原因ではないかと。

居抜き物件は、結論として、どうしても資金が用意出来ない人や使う機材の少ない重飲食系ではない方にオススメです。ただ全部がそうでないにしても、潰れた店をそのまま使う覚悟は、しっかりと持った上で選択するべきだと思います。自分の店になるわけですから、言い訳は効きません。中途半端に前の店のものを入れ替えてやろうとすると、余計に費用がかさむこともあるかと思います。従って居抜き物件を見る際には、すでに自分でいるいらないのジャッジができる状況でないと難しいかと思います。もともと予定にないのに、グリドルがあるからステーキもやろう、とかセラーがあるからワインに力を入れよう、というのは難しいですし、そううまくはいかないと思います。

いずれにしても根気よく数多く物件を見ること、それが大切だとは思います。